繋げる
移植待機616日目です。
次女は今日も巡り合わせを待ちます。
最近、次女のことを応援してくださっていた方の訃報に直面しました。
その方は29年前にアメリカで心臓移植を受け、移植に対して強烈な批判があった当時の日本で、移植普及のために啓発活動を始められました。
周囲から
「人殺し」
「あなたには人の命を奪って生きる価値があるのか」
などの言葉を浴びせられ、いつか自分は殺されるんじゃないかと思っていたそうです。
そんな中でも移植に反対する団体の講演会にあえて出席して必要性を訴えるなど、移植を待つ他の患者のために尽力されました。
各啓発イベントやアメリカでの渡航移植を目指す子供への支援、臓器移植法の制定にも関わり、後世の移植医療を大きく進展させることに貢献されました。
しかし移植後は決して良い状態が続いたわけではなく、度々入院することもあり、十数年前から心臓の再移植登録をしていました。
お会いして話した際には、そのような波乱万丈の人生を歩んできたとは思えないほど気さくで優しい方でした。
コロナが落ち着いたら次女にも面会したいと言っていただいていたので、突然の訃報を聞いて本当に残念です。。
亡くなる数日前にやり取りをした際、
「移植を受けて幸せだけど、移植手術の麻酔が入る瞬間まで、自分の心臓が何かの間違いで治ってくれないかと願っていた。病気と無縁の人生を経験したかった」
とおっしゃっていました。
たまたま聞けた本音だったのではないかと思いました。
移植啓発に関して多くの言葉を残されましたが、
特に印象的だった言葉は
「臓器提供は良いこと。絶対に良いこと。
では提供しないのは悪いことか?
違う、それは普通のこと。
臓器提供に悪い選択肢なんて存在しない。
日本とアメリカの違いは、
臓器提供を良いことだとはっきり言い切れるかどうかだと思う。
移植後、アメリカの街で出会った人々に移植を受けたことを伝えると
『それは良かったな!お前はラッキーだ!ドナーに感謝しろよ!』
と返された。
これは移植や臓器提供を良いことだと認識していなければ出ない言葉だと思う 」
考え方1つで言葉や行動は変わるということを教わりました。
次女が無事に移植を受けられたら、報告しに行きたいと思います。
声をあげてきた方がいたからこそ、日本でも移植や臓器提供について耳にすることが少しずつ増えてきたように思います。
いま放送されているドラマ「祈りのカルテ」「PICU」では、拡張型心筋症と移植についての話がありました。
これが近い将来、移植でのさらなる救命増加まで繋がることを願います。
繋げるためにできることをします。