姉妹の未来
移植待機1053日目。
次女は今日も巡りあわせを待ちます。
しかし今はいつもの病室ではなくICU(集中治療室)にいます。
次女は年末年始頃から風邪の症状があり、とくに咳込みが激しく苦しんでいました。
そのせいか機嫌は悪く、飲食もできずの日々。
1月5日には病室での三度目の誕生日を迎えて3歳になりました。
付き添っている親父がハッピーバースデーの歌を歌うと、それどころじゃない!!と言わんばかりに怒っていました。
私はしばらく付き添いをつづけました。
1月13日の就寝前、次女が珍しく何もせずただボーっと天井を見つめて1時間過ごしているのを見守り、不思議だなと感じつつも親子で就寝しました。
その1時間後、次女は激しい咳込みで起きて泣き、それから朝までほとんど一睡もできず咳込みに苦しみました。
看護師と当直の医師が来ましたが、酸素を送っても血中濃度が保てず、レントゲンを撮ると、喘息と肺炎を起こしている可能性があるとの事でした。
朝になっても苦しんでいて、疲労と眠気が重なった次女は段々と意識が遠のき、顔色は白くなり、唇は紫になっていきました。
自発呼吸だけでは酸素の血中濃度が大きく下がるため、呼吸器を使って何とか維持させていました。
挿管になると言われICUへバタバタと移動し、私は呼ばれるまで待ちました。
その後はレントゲン画像(右肺が真っ白)を見ながら医師から話を聞きました。
右肺は重症。
拡張型心筋症によって左室が大きくなって左肺が元々圧迫されていた状態で、さらに右肺が風邪による炎症を起こしてしまったので、かなり呼吸状態が悪くなっていました。
ここまで一気に悪くなる肺炎は稀だと言われました。
挿管しても回復がみられなければECMOを使う可能性があると言われ、それは最終手段であるということ、また移植待機登録から外されることもあり得るという事でした。
それはもう、身震いしそうなほど恐ろしい話に思えました。
3年も闘ってきてそりゃないよ。
移植待機者にとってはただの風邪でも文字通り「命取り」。
そこから今ちょうど1週間が経過しましたが、次女は幸いにも回復傾向にあります。
自発呼吸で少しずつ頑張り始めているようです。
まだ挿管されて麻酔が入れられていますが、少し目が開きかけています。
このままなら大丈夫だろうと思いますが、3歳になったばかりなのに、またとんでもなく大変な闘いを強いられていて、理不尽だと感じてしまいます。
そろそろ何か大きな良い事でも起きればいいのに。
もう1つ。
5歳の長女、遺伝の可能性を考えて年1回の心臓検査を受けています。
症状などはとくにありませんでしたが、先日の検査にて1年前よりも若干の心機能低下が見られ、これまでギリギリセーフだった各数値がギリギリアウトのエリアに入ってしまい、投薬を開始することになりました。
私と同じ心不全用の薬を飲ませ始めました。
パパと同じお薬〜!
と機嫌よく飲んでくれてますが、
この現実はかなり辛いです。
親父にかなりの有効打です。
何かが起きる前に薬で対策できてるんだからと自分に言い聞かせるしかないです。
年明け早々、きついなあと感じる幕開けでした。
これらの出来事が起こる前、初詣で長女が引いてくれたおみくじは大吉。
早く効力を発揮してほしいです。
姉妹の未来が明るいものでありますように。
965日
移植待機965日目。
今日も次女は巡りあわせを待ちます。
長い移植待機期間も、1000日が見えてきてしまいました。
最初に平均3年と言われたとき、心のどこかでなんやかんやそれまでには帰れるんじゃないかと思っていましたが、現実は甘くなかった。
付き添いをしている妻の育休ももう限界です。
次女は年が明けると3歳になります。
七五三はできるかな。
というかお宮参りもできてない。
生きていることすら奇跡な状況で、そんなことを考えるのは欲張りなのかも。
でも長女の七五三をしたのがついこの前のように感じて、もうあの頃に追いつこうとしてるんだなーと時の流れを実感する。
親にとっては、いま家族が一緒にいないのはイレギュラーな生活だと分かってるけど、長女や次女にとってはこれが当たり前になっている気がする。
早く普通の家族の在り方を姉妹に経験させてあげたいと強く思う。
この10月は臓器移植法ができた月で、制定日の16日を中心に各地でグリーンリボンデーと題してライトアップやイベント等が実施されています。
また、この時期は日本のなかなか進まない移植医療についての報道も普段よりは増えます。
が、一時的に話題に上がっても、浸透しているとは言えない状況です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/0090d3fa35fd70f463905fad78e247ab2d7c0c7a
この記事の最後にあるとおり、医療機関の体制が整わないことが移植が進まない大きい理由だと思います。
臓器提供を行うと、担当医は数日間缶詰め状態で大きな負担を抱えることになり、そのうえ報酬が出るわけでもない。
ICUの病床は他の患者を受け入れることが厳しい状態になり、病院の収支としては赤字になることもある。
これで病院として移植を積極的に進めようという話にはなり得ない。
アメリカでは担当医をサポートする組織的な仕組みができていて、病院に対して国から報酬も出る。
日本でも移植医療を担う病院や医師へのサポートを国がしてくれるようにしないと、啓発活動などでいくら認知を広めようとも前進は難しいと感じます。
そしてそんな中で、次女にはこの数ヶ月の間に、移植を受けられるかもしれないというコールがきました。
詳細はドナーになられた方の特定に繋がってはいけないため書けませんが、結果的には次女は移植を受けられませんでした。
しかし、日本のどこかで確かに移植で救われた命があります。
ドナーになられた方とご家族の尊いご決断に感謝しています。
また、このコールによって次女の待機順位が初めて分かり、今後への希望をもつことができました。
貧血や嘔吐も続いていますが、強く元気に育ってくれている次女はきっと家に帰れると信じます。
親父の心臓、2年間の経過
移植待機888日目。
次女は今日も巡りあわせを待ちます。
輸血後、ヘモグロビン値が
8付近→13以上
へ上がって元気さが増しているようです。
どうかこの調子を維持して、またしても原因不明の貧血に見舞われることがないように祈ります。
次女の体はエクスコア(体外式補助人工心臓)のチューブがお腹に挿入されているため、お腹周りと両足に拘束具をつけて体制を維持させている状態です。
しかし最近では発達とともにパワフルさが増し増しで、拘束具があっても何のそのと言わんばかりに体制を動かします。
でもそりゃそう、当たり前。
2歳半になったけど自由に寝返りもハイハイもさせてあげられていないまま。
やりたいこといっぱいあるよな〜。
意欲の尊重と危険との葛藤がありますが、親が見ていられる範囲で危険がないことを確認しながら、見守りたいです。
昨日、私自身の3ヶ月ごとの心臓検査を受けてきました。
結果は、前回とほぼ変化なし。
・心筋症発覚時(2年前)に比べると、心臓の張りがわずかに減少してるように見える。
・発覚時90近くだった心拍数が、薬の服用後下がって今は60ほど。
ということで、服薬の効果で現状維持〜やや改善傾向にはあるようでした。
この2年間で他に分かった親父のデータは
・心臓の負担が強くなっているときに上がるBNP値は低いまま5.8〜18程度で維持。
※基準値0〜18。進行した心不全患者の場合200や2000など桁がはね上がる。
・ポンプ機能のはたらきを表す左室駆出率EF値は43〜47%で維持。軽度の心不全。
※基準値55%以上。
自覚として元気満々!!
これからもきちんと薬を飲んで、次女が帰ってきたときに全力で遊んでやれるようにします。
抱っこ
移植待機878日目。
次女は今日も巡りあわせを待ちます。
貧血が進行し、近々また輸血をすることになりました。
仕方がないのですが、以前より貧血になる間隔が早くなってきているのが気になります。
体の成長に合わせ、最近は看護師の補助のもとベッドサイドで抱っこさせてもらえるようになりました。
「抱っこ!抱っこ!」と要求されることもあります。
退院したら右腕に長女、左腕に次女を抱っこするのが親父の目標の1つです。
他にも目標があって、パプリカダンスが大好きな姉妹とコラボするのを目指して親父はギターでパプリカ練習中。
揃ったら一緒にリビングで大暴れしてやろう。
先週末に七夕まつりの花火をビデオ通話で見せたのに、
それよりパプリカ!!パプリカ!!
な次女でした。
2年6ヶ月
移植待機870日目。
次女は今日も巡りあわせを待ちます。
嘔吐はおさまりましたが、原因不明の食欲不振と貧血が続いています。
胃管からの注入量を増やすこと、輸血をすることを検討していますが、できることなら口から食べてほしいし輸血は極力避けたい(輸血は移植後の拒絶反応の確率を上げる)。。
しかしこのままでは体重も増えず、貧血のままは辛い。難しい。
次女本人は比較的元気。
アンパンマンと仲良くしたり、
唐突に蹴りを入れたり。
「おらあああ!!」
と叫び声が聞こえてきそうな勢いでした。
うーんますます姉妹のパワフルさが似てきたな。
入院して間もなく2年6ヶ月。
移植しないと助からない、でも日本で子供が心臓移植を受けるには平均3年かかり、たどり着けない子もいると言われたあの日から。
我が子ながらほんとによく頑張ってて強くてえらい。
でもきみの家は病室じゃないんよ。
ちゃんと家があって帰りに車乗れるようにチャイルドシートだってあるんやぞー
もうそろそろ家に帰ろう!!
色々
移植待機848日目。
次女は今日も巡りあわせを待ちます。
言葉が急激に増えてきました。
アンパンマン!!
おかあさん!!
おみそしる!!
親の言葉を瞬時に真似することも多く、びっくりさせられます。
おやすみ〜と言い合えるのが嬉しいです。
ただ、元気ではありますが絶好調とはいかず。
ここ1週間ほど、突然の嘔吐があります。
レントゲンなどでも原因は分からず。
吐けるものがない状態で何度も吐くため胃液ばかり出ます。
点滴を入れ、飲食はストップしたり再開したり、様子を見ながら判断をしてもらっています。
以前から多かった貧血状態もつづいており、前回の輸血から1ヶ月しか経っていないのにまたヘモグロビン数値が下がってきています。
何事もないだけで良いのに、それさえも難しい。
最近、移植についての報道が続いています。
・2023年の国内移植件数が例年よりも増えて過去最多となるペース
https://www.yomiuri.co.jp/national/20230525-OYT1T50088/
・7月より、脳死を強く疑われる患者の数、および家族へ臓器提供の機会があることの説明をした件数を、病院からJOT(日本臓器移植ネットワーク)へ報告する新制度の試験運用を行う
https://nordot.app/1045307954194759776
・臓器提供に対応できない病院から、対応できる病院への転院を試行
https://news.yahoo.co.jp/articles/878995cb119ddfeda7d44a0a375655051905b8e8
3つ目のニュース内に
「脳死状態となった患者に対し臓器提供に必要な脳死判定ができない場合、」
とあるように、今の日本の制度では「脳死状態」となっても「脳死判定」ができないという矛盾のようなケースがあります。
日本の制度:臓器提供をする場合のみ脳死判定する
脳死判定されないケース
・臓器提供をしないという意思がある場合
→これは個人がもつ当然の権利なので、尊重されるべきです。
・臓器提供の意思はあるが、対応できない病院であった場合
→国内で高度医療を行える大学病院など(5類型施設)約900施設の内、臓器提供へ対応可能と認定されている施設は半数の約450ほど。認定されていても実際に対応できる施設はもっと少ないとも言われています。
この2つ目のケースを解決するために、対応施設への転院を試行するようです。
待機患者の家族としては、動向に注目していきたいと思います。
吐いたり色々あるけど、
次女の笑顔が明日もつづきますように!