娘の相棒
次女の相棒として毎日活躍してくれている、補助人工心臓というものを紹介します。
左室補助人工心臓エクスコア LVAD
(Left Ventricular Assist Device)
通称:VAD、エクスコア
心臓の病気で重症心不全に陥った患者が、心臓移植を受けるまでの命綱として着ける装置です。
患者本人の心臓の代わりに、血液を循環させるポンプ機能を果たしてくれます。
次女が着けたのは小児用の体外設置型(ドイツ製)で、本体が体外にあるため、入院して24時間体制で管理することになります。
↑体に繋げるポンプと人工心臓本体
Web <小児における機械的循環補助の現状と展望>より
↑実際に次女に着いているポンプ
大人用では、体が大きいのでポンプを体内に入れられる植込み型VADもあり、手入れや介助が必要ですが帰宅して着けたまま日常生活を送ることもできます。
日本で小児用VADの使用が承認されたのは2015年で、ほんの6年前です。
それ以前は、コロナ禍でよく耳にしたECMOが最終手段として使われていました。
しかしECMOは最長でも1ヶ月程度しか心臓の補助ができないため、移植までたどり着けない現実がありました。
以前の記事でも書きましたが、日本は臓器移植法の改正(子どもが臓器提供できるように変えた)も2010年と最近であり、VADの承認も含めて世界よりかなり遅れてしまっている現状があります。
余談ですが、改正臓器移植法の原案は、当時の自民党の河野太郎さんたちが作りました。
河野さんはご自身の父親への生体肝臓ドナーになった事でも有名です。
VADが使われるようになって以降、傷口からの細菌感染や血栓による合併症などの危険はありますが、移植待機者の生存率はかなり上がってきています。
近年の統計で装着1年後の生存率は88%、2年後の生存率は80%で、これは移植待機に3年以上かかることが多い日本では、もはや不可欠な装置であると思えます。
また、VAD装着による生存率が、心臓移植後の生存率に近づいていることもあり、将来的には完全埋込型の人工心臓を開発し、移植の代替治療とすることも目指しているようです。
しかし小児用VADの現状は、国内にまだ30台程度しか稼働できるものがなく、移植を目指す際の大きなハードルになってしまっています。
私の次女は奇跡的に、家から行ける範囲内の病院でVADの空きがあったために今の生活を送れています。本当に幸運でした。
数が少ない理由は、約4000万円という価格と、維持費の高さ(使用していなくともメンテナンス代だけでかなり高額になる)、扱える技術者や医師が少ないこと、などがあるようです。
お金については国からの補助金などを充実させて解決してほしいなと切実に思います。
各病院が買って導入できるようになれば、必然的に扱うための研修なども広がっていくんじゃないのかなー。。
また、小児用VADについても大人用と同じく植込みができるように超小型化を目指す動きがあり、先日群馬大学がその開発に着手することを公表しました。
これによって価格や維持費が抑えられるようになってほしい。
次女はこのVADにつながることで、今を生きています。
今日はバギーに座り、相棒のVADと一緒に病棟内を散歩しました。
病室以外の景色を見たり、パパママ以外の人たち(病棟内限定ですが)に会ったり、少しずつ新しい刺激を受けながら成長しています。
リハビリが進めば、自分の足で散歩することもできるようになります。
でも必ずVADも一緒に行きます。
VADが相棒で、VADがなきゃ生きられない。
でも親父の願いは、君が家に帰って、長女を相棒にして姉妹で遊ぶこと!
VADには感謝してるけど、早く笑顔でバイバイできる日がきますように。
それまでもう少しの間、次女をよろしく頼みます。