親父と娘〜心臓移植を越えて乾杯へ〜

同じ心臓病の娘と親父。娘の移植を乗り越え乾杯を目指す。娘を守るかっこいい親父でありたい。

私の心臓について

 

次女が患った「左室心筋緻密化障害」「拡張型心筋症」

 

これらは20〜30%の確率で遺伝性の場合があると言われている。

 

 

私の家系にも妻の家系にも、分かる範囲では心臓関係の病気で亡くなった人はいなかった。

主治医からは、大丈夫だろうが気になるなら家族の検査をしても良いと言われた。

 

 

私は自分の心臓に自信がもてなかった。

根拠はなく、完全に直感的。

別にこれまでの人生で心臓に関して、不安を感じるような経験はない。

だけど何かイヤな予感がした。

 

念のため、家族3人の検査をすることにした。

 

 

 

まず長女の超音波検査をした。

 

健康診断などでは心電図検査までしかやらないため見つかりにくく、超音波検査をするのが1番との事だった。

 

結果は、「左室心筋緻密化障害」に近い状態に見えるが、心臓の機能には全く問題ないため、診断に迷うぐらい微妙なラインとの事だった。

そのため、3ヶ月かけて3回の検査をした。

 

最終診断は、緻密化障害の定義はぎりぎり満たしていないため問題なし、となった。

 

ただし、今後ずっと緻密化障害および拡張型心筋症にならないとは言い切れないため、年1回は検査をしていくという事になった。

 

 

親としては非常に怖かったが、

主治医から、見た目が緻密化障害でも何も問題が起きずに生涯を全うする人はたくさんいる、と言われ安心できた。

 

長女は大丈夫。元気に生きていく。

 

 

 

次に私と妻の超音波検査をした。

 

妻の結果は問題なしだった。

緻密化障害の兆候もなし。

ホっとした。

 

 

 

私の結果は、

心筋緻密化障害かつ軽度な拡張型心筋症だった。

 

予感は残念ながら当たっていた。

主治医からの電話で聞いた瞬間に「やっぱりか」と思ったのをはっきり覚えている。

主治医も驚いていた。

 

次女と同じように左室の心筋にスポンジ状の部分(緻密化障害)が見られ、左室自体が拡張してやや大きくなっていた。

心臓の機能は健康な人よりも10%程度落ちているらしい。

しかし10%程度だと自覚症状はなく、気づかなかったのも無理はないのだそう。

 

悪化すると、少しの運動で息切れや浮腫み、不整脈が出やすくなり、重度の心不全が始まる。

 

拡張型心筋症は進行性で、発症したら治ることはない。

いかに進行を遅らせるかが重要なので、投薬治療をすぐに始めることになった。

 

主治医に10年後に生きていられるかと聞くと、はっきりYESとは答えられないが何も起こらないように進めていこうと言われた。

いつ発症してどれくらいの早さで進行して今の状態に至っているのかがわからないので、今後の進行の早さは予想できない。

 

統計的には大人で見つかった多くの場合は、胎児の頃からゆっくりと発症・進行してきていることが多いため、その後も急激に進行することは少ないと言われた。

 

ちなみに、次女のように赤ちゃんがはっきりと発症すると異常に早く進行して危険な状態となるが、なぜ大人の場合と大きく異なるのか、明確な理由はわかっていないそう。

心臓は2歳ごろに完成する臓器なので、それまでの発達が目まぐるしいため、という説もあるのだとか。

 

 

 

しかし見失ってはいけないのは今。

今、私は元気で、ピンチなのは次女。

 

自分でも不思議なぐらい、落ち込まなかった。

きちんと主治医の指示通りに薬を飲んで、進行をゆっくり遅らせればそれでいい。

5年後ぐらいにはiPS細胞による新しい治療法が保険適用されると聞いた。やれるならやればいい。

20年後に乾杯する目標は変わらない。

 

 

ただ悲しいのは、これでほぼ確実に、次女には私から遺伝させてしまったということ。

そして次女の事がなければ、私の病気も見つからないまま進行していた。

 

次女が命懸けで教えてくれた、と受け止めるのはまだ少し難しい。

 

そして妻に心配のタネを増やしてしまったことが申し訳ない。

 

 

 

とにかく今できることは、次女を毎日楽しませて、一緒に帰れる日を目指すこと。

長女がこれまで通り何事もなく過ごしてくれるように信じること。

 

健康は宝です。