親父と娘〜心臓移植を越えて乾杯へ〜

同じ心臓病の娘と親父。娘の移植を乗り越え乾杯を目指す。娘を守るかっこいい親父でありたい。

移植の課題

 

自宅療養期間が終わりました。

病院で診てもらったところ、今のところ自分の心臓にコロナの影響は出ていないようでした。

コロナ前に受けた24時間心電図の結果もとくに悪化は見られないとのことで幸いでした。

 

長女は遅れての年少組デビューを果たせました。

次女は今日も元気に奇跡を待っています。

 

 

次女が待つ奇跡である移植について書きます。

 

日本と世界各国の移植技術に差はなく、生存率を含め、高い水準に達しているそうです。

 

しかし日本では移植を受けられるまで何年もかかり、たどり着けずに亡くなるケースが多数。

一方で最短数日で移植が受けられる国もあります。

正直なところ、羨ましくないとは言えません。

 

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画像は人口100万人あたりの臓器提供者数(日本臓器移植ネットワークHPより)ですが、日本の少なさが際立っています。

 

この原因には色んな考え方があると思いますが、私は「認識の課題」と「システムの課題」が大きいと感じています。

 

臓器提供の割合が高いスペインなどでは、「臓器提供は良いことである」というハッキリした認識が浸透しているそうです。

 

一方日本では、臓器提供について触れる機会が少なく、人と話したり考えたりすることに抵抗感をもちやすい。

死や病気についてじっくり話すことも少なく、むしろ当事者じゃない人にそうした話をすると困惑させてしまって申し訳ないという意識も少なからずはたらきます。

 

この状況の中でどうすれば臓器提供への理解を浸透させられるか。

個人的に去年放送された医療ドラマ2つ「ナイトドクター」「TOKYO MER」の影響はすごいと感じました。

これらのドラマの中で「臓器提供」「心臓移植」「拡張型心筋症(次女と私が罹患している心臓病)」が扱われた結果、SNS上などで注目されて臓器提供について議論が起きたり、意思表示を記入した人が一気に増加したというネットニュースが流れました。

大きく目立つ立場からの広報は効果絶大です。

一瞬で話題が過ぎ去っていく時代なので継続させることは難しいですが、一般人ができることとは比較になりません。

自分自身にできることが分からなさすぎて他力本願になっていることは情けないですが、こうした機会がこれからも増えて多くの人が関心を持つようになってほしいと願います。

せめてどうすればこうした機会を増やせるかを考えます。

 

 

またシステム面では、他国では患者が亡くなったとき自然に医師から家族へ臓器提供の選択肢が提示されるそうですが、日本では違っています。

日本では臓器提供するとなった場合の医師の負担がとてつもなく大きく、ほとんどその医師のマンパワー頼りになっています。そのため選択肢の提示自体をしないことも多いという現実があります。コロナ禍で病院がひっ迫して移植件数が減ったことにも繋がっています。

またその負担を背負って懸命に手続きを進めたとしても、日本ではドナーになる基準がとても厳しいため臓器提供ができない場合もあり、これまで診てきた患者と家族の最後の願いを叶えられないことで心が折れそうになる医師もいると聞きました。

日本にありがちな煩雑すぎる手続きじゃなく、患者側も病院側も安心して臓器提供が行えるサポート体制やシステム作りが必要だと思います。

 

 

次女を助けたいからと、以前はこうした事を知ろうともしなかった人間が偉そうに考えを書きました。偏った考えだと思います。

 

ただ、厚労省の移植推進担当者も日本の課題として同じような点を挙げていました。

 

次女や私がこれからどうなるのかは分かりませんが、私たちや今後同じような状況に陥ってしまった人たちにとって今より少しでも希望がもてる国になっていきますように。